初代熱血硬派くにおくん 総合情報サイト

「熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティーガールズ」感想

衝動買いしてから2日間でとりあえずトロコンまでやりましたので感想。
PS4版とスイッチ版で迷いましたが、何となくPS4版にしました。

念のためネタバレ要素は塗りつぶしておきますので、未プレイの方もご参考にどうぞ。
ただし、公式サイトに載ってる程度のことは、ネタバレ扱いとはしてませんのでご了承を。

ざっくり概要

洋ゲー

  1. 全編英語音声。雰囲気に合っていて決して悪くない(むしろ好き)が、
    日本語訳もなかなかにイカしているので、日本語音声も是非入れて欲しいところ。
    というか、実は英語音声と日本語字幕では、ストーリーの意味がまるで違う(後述)。

  2. ×ボタンで決定、○ボタンでキャンセルの洋ゲー仕様。慣れれば別に問題ないのだが、
    PS4のメインメニューに戻ると操作が逆転するので一瞬混乱する。

  3. 通貨がドル、地名が欧米。でも町並みには日本語も多い不思議。
    ちなみに熱血高校は、校門には「River City School」、校舎には「熱血高校」と表札があるハイブリッド仕様。

  4. そこそこガチな難易度(ノーマルとハードがあるが、ノーマルでも回復アイテム買わないと割と普通に屠られる。)

世界観

  1. みさこきょうこが、誘拐されたくにおりきを救出しにいくというお話。
    「女に助けられる熱血硬派!?」とか気にしてはいけない。時代は男女共同参画である。

  2. みさこくにおの彼女、きょうこりきの彼女というのは、言わずもがな「くにおたちの挽歌」の設定である。
    しかし、ひろしは別にくにおの舎弟ではなくただのナードだし、別に全体が挽歌準拠というわけではない。

  3. 全体的にポップで可愛らしい雰囲気の馬鹿ゲーであり、子供にも安心してプレイさせられる(難易度は置いといて)。

  4. 敵キャラたちは、理由も前口上も何もないが、当然のごとく暴力を振るってくる。
    開幕からして、授業中にクラスメートが何の前触れもなく襲ってくる。町にいる警官は全員悪党。最高。

  5. 外伝を言い訳に、あらゆる意味で非常にはっちゃけている。くにおシリーズはもちろん、ダブルドラゴンやら、
    コンバットライブスやら、テクノスゲーからのゲスト参加は枚挙に暇がない。

  6. 色んな作品の影響があるが、全体的にはダウンタウン熱血物語の血脈を強く受け継いでいる。
    なお、ダウンタウン熱血物語は、メインBGMとボス戦BGMの2曲がアレンジで使われているなど、
    扱い的にかなり優遇されている。…えっ、初代? ジャーマンならあるよ。

キャラクター

  1. みさこきょうこ
    アホJKで良い。お店に入ったときのイラスト、ローディング時の殴り合い、

  2. はせべまみ
    ダウンタウン熱血物語のヒロインコンビ。何と悪役である。めちゃくちゃ良いキャラしているので一見の価値あり。
    主人公たちを小馬鹿にした笑い方がたまらなく好き

  3. くにおりき
    今風にアレンジされている。
    特にりきのイメチェンは激しい(まさかのツーブロックに加え、上半身裸+サラシは無印準拠)。
    ネタバレになるが、この二人は『誘拐されていたわけでもなんでもなく、二人で女子高生をナンパしていただけという
    驚愕のオチ(日本語版のみ)があり、「硬派」を全否定するような描写
    』に、外伝ならではの清々しさを感じて笑ってしまった。
    デザイン的には(特にドット絵)、二人とも正史でもいけるんじゃなかろうか。

  4. みすず
    挽歌でも出ていたので、何気に本作の主人公二人とは二度目の対決になる。
    最初のボスでもあり、昔ほどの化け物感はないが初見殺しでやはり強い。

  5. やまだ
    黒魔術マスターになっている。時代劇さながらの「やまだのじゅつ」など序の口、
    衝撃波を飛ばし瞬間移動まで使いこなす化け物に。絶対くにおより強いと思う。

  6. ヒバリ
    新キャラだと思うが、名前はりきの初期設定の苗字から来ているのだろうか?
    見た目が好き。

  7. みほこ
    かつて初代の次に好きだった、ゲームボーイの「場外乱闘編」からゲスト出演。
    もちろん、名前で検索するまでこのキャラのことは微塵も覚えていなかったが(笑)、
    マニアックであらねばというスタッフの意地を感じる。
    そういえば、これを書いていて思い出したが、エドモンド本田みたいな相撲取りの店員は、
    このゲームのボスキャラの大石為右衛門(そんな名前だったのか)なのかも。

  8. その他にも各種テクノス作品から大勢登場。
    コンバットライブスのマーサには笑った。

Twitterで元ネタをまとめられている方がいらっしゃったので貼っときます。
https://twitter.com/SugarRushOjisan/status/1172857227205431296


評価ポイント

良い所

  1. 技が最初は少ないが、レベルアップや道場で購入して増えていくスタイル。
    初代とダウンタウンの折衷といったところか。コンボがやりやすくなかなかの爽快感。
    別にいらないという技も正直あるだろうが、この手のゲームは敢えて色んな技を使ってこそである。

  2. プレイヤーキャラクターはみさこきょうこの二人だが、クリアするとくにおりきも使用可能になる。
    全員、技の性質が結構違ってキャラが立っているので、周回プレイもなかなかに楽しい。

  3. くにおはスタイリッシュなケンカアクション(オーバーヘッドキックなど)を種々身に付けていて、
    かつての昭和の不良的な雰囲気とは趣が違うが素直にカッコイイ。

  4. りきくにおのコンパチだった頃とは一閃を画す特徴を与えられており、
    「ああ、りきってこういう感じかもね」と違和感なく受け入れられた。
    なぜかナルシスト属性が付与されているのはご愛敬。

  5. 敵は7人くらいワラワラ出てくるときもあり、大立ち回りをするのは楽しい。

  6. ザコ敵が結構強く、見た目と違って立ち回りが重要なゲーム。
    ガードは前方しか防げないうえに、一部のザコはガード無効技(モーション大)も使ってくる。

  7. いわゆる「出し得」の技(初代のジャーマンや、挽歌のマッハパンチなど)がなく、
    適当に出すとお仕置きされるので、状況を見る必要がある(=脳死族にはオススメしない)。

  8. マップが親切設計、お店やバスなどの在処を書いてくれているし、ストーリー上の行き先も示してくれるので
    迷うことなくサクサク進める(難易度は置いといて)。

  9. 二人プレイがもちろんできる。同士討ちの有無も設定できる。ちなみに同キャラプレイは不可である。
    仲間がやられると、完全に死ぬ前に救出できるという、今風のシステムもあり。

  10. ストーリーがコミック調で語られるのだが、出来が良くて面白い。

  11. ボス周りの演出が凝っている。登場する際のムービーや戦闘前のVS表示など、ハイセンスな仕上がり。

悪い所

  1. □ボタンが通常攻撃のほか、場面移動や入店、調べるなどにも使う。このうち、最も問題になるのが場面移動だ。
    出入口の近く(結構範囲が広いのがまた厄介)で□ボタンを押すと移動するのだが、
    場面が変わった直後は一定時間猶予があり、□ボタンを押しても移動を受け付けない。
    なので、入った直後に目の前に敵がいるような場面(クロスタウンの右のバス停など)で、そのまま戦い始めると、
    何発か殴った後で勝手に場面移動させられるのだ。他にも立ち回りの途中で意図せず移動してしまうこともあり、
    個人的には最大のストレス要因。アップデートがあれば、未使用のL1,L2ボタンなどを割り振れるようにしてもらいたい。

  2. UIがやや洗練されておらず、使いにくい。

  3. 装備品は2つしか付けれない上に、ピンポイントな性能のものが多すぎてあまり機能していないように思う。
    せっかくだからもっと沢山装備できるようにした方が良いのでは。
    ぶっちゃけ何を着けてもバランスに大きな影響は与えないと思う。

  4. 技の出し方が、ボタンしか書いてないので、少し分かりにくい。
    この手のゲームに慣れていれば察することはできるので、個人的にはそこまで気にならなかったが。

  5. ボスは基本的に分からん殺しされる。無敵技に入るタイミングや、当たり判定などが分かりづらい。
    結果、回復アイテム使ってごり押しになりやすい(逆に、回復アイテム前提でもきついボスというのはいない)。
    ボス戦でも死ぬとがっつり金が減るので、ちゃんと店で使い切ってから挑むようにしよう。

  6. ボス戦ではそこそこ大金が手に入るが、直後にザコに殺されたりすると同額集めるのがかなりしんどい。
    個人的に、このゲームにデスペナルティ(金が減る)はいらないんじゃないかと思う。
    気軽にザコ戦を楽しむにせよ、ボス戦で回復アイテム無しで試行錯誤するにせよ、
    所持金を気にしないといけないというのはもったいない。

  7. ジャストガードで弾いた後は、掴み技に移行できるようにして欲しかった。

  8. ダッシュの上下版が、武器持ちだとできないのが納得いかない(普通のダッシュはできる)。

  9. 「ジャーマンスープレックス」や「スタンガン」など、痛そうなムーブがあるのだが、
    ヒット音が軽いのと、フワッとした挙動なので、痛そうに見えない。
    ポップな雰囲気に合わせて暴力性を緩和しているのかもしれないが、個人的にはガツンとしたヒット感が欲しい。

  10. ダウン攻撃には、重なって△ボタンという専用技が用意されているが、それ以外の技は、
    スライディングなど明らかに当たっていそうな見た目の技でも当たらない。
    追い討ちは色んな技でできるようにして欲しい。両手武器殴り・投げとか。

  11. 舎弟(リクルート)システムは、ただの収集要素になっている。実戦に使うにはテンポも実益もいまいち。

  12. 先ほど「ザコが強く難しい」と書いたが、片手武器が異常に強く、片手武器の前にはザコなど赤子同然。
    物にもよるが、リーチ長い、ガードされない、無限空中コンボで瞬殺可能と、やりたい放題である(特にヨーヨーがやばい)。
    安定プレイするなら、通常技はすべて封印して片手武器一択であろうが、そこまでやるとつまらないのでお勧めしない。
    一応、武器には耐久度があって壊れるので、永久に使えるわけでは無いのが救い(しかし、終盤にとあるアイテムを入手すると…。)
    ちなみに、両手武器も決して弱いわけではないが、片手武器に比べると子供のオモチャである。

良いとも悪いとも言わないが特筆点

  1. ボス戦は全て別ゲー。「ケンカ」ではなく完全な「アクションゲーム」。

  2. 店の商品を買って使うと体力回復+ステータス上昇というダウンタウン方式(ただしステータス上昇は1回だけ)。

  3. 舞台が大阪じゃないのでポリさんが弱い。挽歌のオッサンよりさらに弱い。

バグ

  1. バグがなければくにおシリーズではないと言わんばかりにバグが多い。
    ただ、本作はマップ移動のたびにオートセーブがされるので、バグってもそこまでダメージがないのが救い。

  2. ゲーム中のオブジェクトが表示されなくなるときがある(メモリのバグ?)。
    ゲーセンのゲーム機が全部無くなっていたときは、新しいイベントかと思ってしまった(笑)

  3. ケンカ中、エラーによる強制終了が稀に起こる。トロコンまでの2日間のプレイで2回発生。

  4. 三和会ビルまで進んだあと、マップ画面開いて、三和会ビルからさらにR1で右ページに送ろうとすると強制終了する。

  5. ヒバリを倒した後、ヒバリとの戦闘場面にもう一度入り、画面下から段を下りると復帰不能・操作不能になる。
    メニューは開けるのでセーブ再開でOK。

総括

全体として、非常に楽しめました。

くにおファン、アクションゲーム好き、可愛い女の子好きなど、色んな人にオススメします。
あまり期待せずちょっとプレイしてみるか、と気軽に遊ぶと、ついついクリアまでやっちゃうという感じです。
無印のような硬派感や、初代のような哀愁のあるストーリーなどはありませんが、単純に楽しい。
「細けえ事はいいんだよ!」という魅力のあるゲーム。
そういう意味では、初代に通じるものがあったりするんじゃないでしょうか。

こうやって色んなゲームが出て間口が広がり、いずれは正当な硬派シリーズもまた出ればいいですね(白目)。
(いい加減、ファミコンチックな2.5頭身じゃないやつで…。)

日本語版と英語版のエンディングの違い

完全なネタばれのため、以下は全て反転表示。

日本語版

みさこときょうこは、くにおとりきの彼氏ではある。
くにおとりきが誘拐されたと勘違いして心配して探し回った二人だったが、
くにおとりきはただナンパしていただけだったと悪びれず語る。
再開してもナンパの感想を言いながらヘラヘラしている二人をぶっ飛ばしてエンディング。

英語版

くにおとりきは、みさこときょうこのことをほとんど(全く?)知らない。
「くにおとりきが誘拐されたので心配して探しに来た」と詰め寄るみさこときょうこに対して、
くにおは「またあのクレイジーガールズだよ。あいつら誰だ?」、りきも「知らねえ」。
くにお「そんなことよりはせべとまみに会いに行こうぜ」と、さんざん苦労してきた
みさこやきょうこを意にも介さない二人を、腹いせにぶっ飛ばしてエンディング。

解説

みさこときょうこが彼女として登場する「くにおたちの挽歌」は日本でしか発売されておらず、
日本語版ではくにおとりきは当然彼女たちを知っているが、英語版ではそもそも面識がないということで、
日本ユーザーと海外ユーザーの認識に合わせたオチにしているというわけですね。
(前振りとして、はせべとまみを倒した後に、「アメリカで発売もされてない16bitゲームでしか
デートしたことないくせに」と揶揄されるセリフがあります。)

本作は洋ゲー、英語版が先にありきで、日本語版は後で翻訳されているため、
本来のストーリーは英語版だったということになります。

これを前提に考えると、作中でくにおとりきを探し回る二人の言動や、
ボスキャラ達の受け答えの意味が、かなり変わって見えてくるところです。
(どっちにしろやばい主人公二人なのですが、やばさの性質が違うというか笑)

まあ、そこを逆手にとってこの二人を主人公にしたともいえます。
「そんなメタな落ち(英語版)かい!」というのをやりたかっただけなんじゃないでしょうか。


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